内容 | 市場経済と重なるけれども、ちょっと違う。 社会全体に新しい循環をつくり、大きな社会問題に立ち向かう 「小さな社会変革」=シビックエコノミー !! 本書は2014年刊の『シビックエコノミー 世界に学ぶ小さな経済のつくり方』(00著、石原薫訳)を受けてつくられた、「日本における初めてのシビックエコノミーの入門書」です。 いま世界中で、既存のジャンルを横断し、民間・行政・第三セクターの枠を超えたシビックエコノミー=「市民主体の新しいエコノミー」が生まれています。 たとえば、孤食を避けるための地域のハブとなる場づくり、空き家問題のためのリノベーション、市民出資によるエネルギーの事業と地産地消、地域の人と素材にこだわるものづくり、生産者と消費者(地方と都会)を深くつなぐメディア……。規模の大小はあれど、いずれもパブリックマインドをもち、柔軟にその地域に溶け込んで「新しい循環」を生んでいます。このような動きがかつてないほど活性化しているのは、全世界的に、近代社会が構築したシステムが限界を迎え、金融・経済・政治など制度の停滞や利益構造の硬直化がおき、これまでのやり方では難しい局面を迎えているからこそ、でしょう。 「シビックエコノミー」を先導しているのはイギリスですが、では日本では、どのような地域にどんなイノベーションが生まれているのでしょうか。さまざまな地域やコミュニティを調査し、検証し、当事者に話を聞くなかで見えてきた日本ならではの創意工夫を、このたび1冊にまとめました。 本書ではまず、イントロダクションで「シビックエコノミー」に必要なこと、特徴、日本ならではの定義を試みました。続くPART1では、その定義のもと、20の国内の事例をとりあげ、 ・これまでの変遷と展開の仕方 ・他地域でも応用できるポイント3つ ・周辺地域や社会に与えた影響(=ソーシャルインパクト)と今後の課題 ・類似事例 をイラストを交えて、それぞれコンパクトに整理しました。 国や企業、行政中心の「大きなもの」や、公共、共有資源の在り方、仕組みがよくわからないまま流されてきたものに対して、今こそ、私たちひとりひとりが、じぶんの手でつくりだす方法を考えます。 【編者略歴】 紫牟田伸子 編集家/プロジェクトエディター。美術出版社、日本デザインセンターを経て、個人事務所SJ主宰。「ものごとの編集」を軸に、デザインプロデュース、商品企画、プロジェクトプランニング、マネジメントを行う。主な著書に『シビックプライド:都市のコミュニケーションをデザインする』、『シビックプライド2【国内編】:都市と市民のかかわりをデザインする』(共同監修・共著/共に宣伝会議)、『編集学:つなげる思考・発見の技法』(単著/幻冬舎)など。 ▶︎取材・執筆担当:#01 尾道空き家再生プロジェクト/#02 オガールプロジェクト/#03 シブヤ大学/#05 豊劇新生プロジェクト/#10 コトラボ合同会社/#12 食べる通信 /#13 まちの保育園/#14 おひさま進歩エネルギー/PART2(pp.238-243) 江口晋太朗 編集者、ジャーナリスト。TOKYObeta Ltd.代表取締役。1984年生。福岡県出身。メディア、ジャーナリズム、情報社会の未来、ソーシャルイノベーション、参加型市民社会などをテーマに企画プロデュース、リサーチ、執筆活動などを行う。「マチノコト」共同編集、NPO法人マチノコト理事、アートプロジェクトを推進するNPO法人インビジブル理事、インディーズ作家支援のNPO法人日本独立作家同盟理事などを務める。Open Knowledge Japan、Code for Japan のメンバー。著書に『ICT ことば辞典』(三省堂)、『パブリックシフト:ネット選挙から始まる「私たち」の政治』(ミニッツブック)ほか。 ▶︎取材・執筆担当:#15 京都移住計画/#16 FAAVO/#17 シェアビレッジ町村/#18 タウンキッチン/COLUMN「テクノロジーで地域の課題を解決する『シビックテック』という方法」 太田佳織 出版社勤務を経てフリーランスの編集者・ライター。主に企業や団体のCSR活動や環境活動についてのレポート編集・取材・執筆を手がける。 ▶︎取材・執筆担当:#20 軒先株式会社 岡部友彦 コトラボ合同会社代表。1977年生まれ。東京大学大学院建築学修了。“コト”づくりからまちなりわいづくりに取り組むスタンスで、街の眠れる資源を活用し、街に新たな生業をつくることで活性化へとつなげる取り組みを行っている。2004年より横浜寿町にてヨコハマホステルビレッジを始め、大学と連携した事業や地域の状況やプロジェクトを紹介するプロモーションムービーの制作などを行い、2012年より愛媛県松山市三津浜地区にて空き家バンクや、使われていない古民家のコミュニティアセット化を目指した活性化事業を行っている。 ▶︎執筆担当:PART2(pp.210-229)/COLUMN「海外で行われているシビックエコノミーの形成を促す新たな仕組み」 小西智都子 香川県高松市生まれ。2010年香川の小さな出版社ROOTSBOOKS設立、現株式会社瀬戸内人代表取締役。瀬戸内海の島と陸をつなぐマガジン「せとうち暮らし」をはじめ、瀬戸内の島々の本を手がける一方、聞き取りストとして、地域の長老たちに土地の文化や歴史、実体験などを聞き、オーラルヒストリーとして記録し伝えていくことをライフワークとする。本を通して、借り物ではない自分たちの「ものさし」をつくっていきたい。 ▶︎取材・執筆担当: #08 しまんと新聞ばっぐ 二橋彩乃 フィルムアート社の編集部員。同社にて、これまで建築、まちづくり、ソーシャルデザインなどのジャンルにおいて、『クリエイティブ・コミュニティ・デザイン:関わり、つくり、巻き込もう』(2012)や、『シビックエコノミー:世界に学ぶ小さな経済のつくり方』(2014)、『We Own The City:世界に学ぶ「ボトムアップ型の都市」のつくり方』(2015)などを編集担当した。 ▶︎取材・執筆担当:#04 應典院/#06 三草二木西圓寺/#07 ゴジカラ村/#09 猪鹿庁/#11 ココルーム+釜ヶ崎芸術大学/#19 HAGISO+hanare |
---|---|
目次 | はじめに…2 INTRODUCTION シビックエコノミー:市民がデザインする未来の“ふつう”…8 PART1 ケーススタディ20 #01 尾道空き家再生プロジェクト…20 #02 オガールプロジェクト …30 #03 シブヤ大学 …38 #04 應典院 …46 #05 豊劇新生プロジェクト …56 #06 三草二木西圓寺 …64 #07 ゴジカラ村 …74 #08 しまんと新聞ばっぐ …84 #09 猪鹿庁 …92 #10 コトラボ合同会社 …104 #11 ココルーム/釜ヶ崎芸術大学 …112 #12 食べる通信 …124 #13 まちの保育園 …132 #14 おひさま進歩エネルギー …140 #15 京都移住計画 …148 #16 FAAVO …156 #17 シェアビレッジ町村 …164 #18 タウンキッチン …172 #19 HAGISO / hanare …180 #20 軒先株式会社 …192 COLUMN テクノロジーで地域の課題を解決する PART2 シビックエコノミー実現のための行動ガイド ・シビックエコノミーへ の 関わり方・始め方 …210 1 自分が主体的に関わる 2 他人を主体的にすることに関わる 3 他人が主体的に関わるのを応援する ・継続的な活動基盤となる エコノミーのつくり方 …214 1 仲間をつくること 2 続けるための資金を捻出すること 3 意欲・モチベーションを保つこと ・エコノミーの連携のつくり方 …224 1 自分で所有する 2 賃貸する 3 協働事業 COLUMN 海外で行われている シビックエコノミーの形成を促す新たな仕組み …230 ・場の保ち方 …238 ・変化の見方 …240 ・引き継ぎ方 …242 おわりに …244 執筆者紹介 …246 |