活用・運用

認定NPO法人ReBit様(Salesforce活用事例)

寄付者の情報をSalesforceで一元管理。一人ひとりの「想い」も一緒に蓄積されていく

認定NPO法人ReBit(りびっと)(以下、ReBit)は、LGBTQもありのままで学び・働き・暮らせる社会を目指す、認定NPO法人です。団体名には「少しずつ(Bit)」を「何度でも (Re)」繰り返すことにより社会が前進してほしい、という願いが込められています。

今年2024年に法人化10周年を迎えています。(2009年に団体設立、2014年に法人格取得)

これまでに学校・行政・企業でLGBTQやダイバーシティに関する授業/研修を約2,200回、22万人以上に提供しています。多様な性についての教材作成や、LGBTQの就活生ら約13,000名超のキャリア支援を行い、LGBTQなど多様性にフレンドリーな就労移行支援事業所を渋谷区と大阪市で運営しています。

今回は、寄付者管理でSalesforceを活用中のReBitから、事務局長のNさんとファンドレイジング担当のKさんのお二人がご登場。Salesforce導入の背景や活用の様子を伺いました。導入について興味関心をお持ちの皆さんにとって、少しでもヒントになれば幸いです。

◆ 導入の背景

──Salesforce導入の背景をお伺いできればと思います。

Nさん:マンスリーサポーターの仕組みを始めた2018年頃から、「寄付者の情報をどのように管理していくのか」ということは団体内でも話題にあがっていました。しかし当時は、寄付者の皆さん一人ひとりを把握できる人数規模でしたので、まずは寄付者の人数そのものを増やすことに注力していました。

その後、ありがたいことにマンスリーサポーターの人数が増えてきて、250〜300名になってきたタイミングで、「寄付者の情報を手作業で管理し続けることは、現実的ではないかもしれない」という課題感が団体内で出てきました。年一回の寄付金受領証明書の発行を手作業で進めることへの限界を感じ始めたのもこの頃でした。そして、ファンドレイジングの今後の戦略を考えようとした時に、それまでに蓄積されている寄付者のデータをうまく活用できている状態でもありませんでした。

ちょうどその頃、ファンドレイジングのマネージャーのポジションにKさんが参画されました。KさんにReBitでご活躍いただくためにも、まずは寄付の土台を整えることが必要だと感じ、2023年度の年度はじめにシステムの導入を決めました。

──導入を決めた後、どのように検討を進められたのかについてもお聞かせいただけますか?

Nさん:はじめに、「システムを導入することで、ReBitとして何を実現したいのか」ということを考えました。

そこで、すでに蓄積されている寄付者のデータを一元管理することと、そのデータをファンドレイジングの今後の戦略に活用できるようにしていくことの2つを設定しました。

そして、複数のサービスを比較した上で、この2つの目的を達成するために必要な機能が備わっているSalesforceを選びました。

左:ReBitの事務局長のNさん / 右:インタビュアー(NPOサポートセンターのスタッフ)

◆ 現在の活用状況・運用の体制

──現在のSalesforceの活用状況をお伺いできればと思います。

Kさん:個人・法人の寄付者の情報をすべてSalesforce上で管理しています。

寄付者お一人おひとりの情報に紐づけるかたちで、入金に関する情報やお問い合わせフォームからの連絡、メールや電話などのやりとり、活動参加などの履歴が一元管理されています。

マンスリーサポーターの方であれば、入会のタイミングもリアルタイムでわかりますので、入会いただいた後すぐにやりとりすることもできます。退会の希望をいただいた場合でも即時反映されて対応することが可能です。寄付金受領証明書の発行もご入金を確認した後すぐに対応できるようになりました。

──Salesforce運用の体制はいかがでしょうか?

Nさん:メインはファンドレイジング担当のKさんです。その他に、経営管理部で経理を担当しているメンバーや、総務も含めて認定NPO法人の更新等の実務をリードしているマネージャーなども関わっています。

──団体内で横断的にSalesforceを活用できているのは大事なポイントだと思います。何か工夫されたのでしょうか?

Nさん:システムに慣れるために、Salesforceを使う予定のメンバーで一緒に研修を受けたことは大きかったと思います。

また、今回の導入をきっかけに団体内の寄付に関する管理フローを整えようという目標もありましたので、「導入の意図」や「ゴールイメージ」をメンバー間で共有できていたことも大きかったです。

法人化10周年を迎え、リニューアルされたReBitのコーポレートロゴ(画像提供:ReBit)

◆ 導入して良かったこと・これから取り組みたいこと

──Salesforceを導入して良かったことをお聞かせいただけますか?

Kさん:寄付者お一人おひとりの履歴などの情報が一元管理できていることで、初めてご寄付くださった方なのか、以前から何度もご支援くださっている方なのか、すぐにわかるようになりました。

お一人おひとりのご寄付の状況に合わせるかたちで感謝の気持ちをお伝えできるようになり、とても良かったです。

レポート機能もよく使っています。現在や過去の寄付者の傾向を確認したいとき、チェックしたい期間の単位(年度ごとや月ごとなど)を設定し、レポートを抽出しています。また、団体の収入をリアルタイムで把握しやすくなり、将来的な収入の予測も立てやすくなりました。

Nさん:業務の属人化を防げる環境をつくりやすくなったと思います。

もし誰かが休むとなった場合でも、Salesforce上でアクティブな案件を最新の順番で確認できるため、引き継ぎもスムーズになりました。ReBitでは休みを取りやすい環境を整えていこうとしている最中で、導入によって一歩前進しました。

──Salesforceを活用してこれから取り組みたいこともお伺いできればと思います。

Kさん:Salesforce上に蓄積されていくデータをもっと活用して、今後のReBitの寄付の戦略を立てていきたいと考えています。そして、具体的な施策に落としていき、どんどん改善させて良くしていきたいです。

Nさん:Salesforce上のデータを活用しながら、寄付者・支援者の皆さんとの繋がりを広いコミュニティとして捉えて、コミュニケーションのあり方を進化させることができるのではないかと可能性を感じています。

ご寄付やご支援とともに、皆さんの想いも一緒に預かっていると思っていますので、「ReBitの仲間たち」といったかたちで、社会課題を一緒に考えながら、一緒に進んでいけると嬉しいです。

ReBitのスタッフと継続寄付「にじいろバトン」の仲間の皆さん(写真提供:ReBit)

◆ 導入を検討中の皆さんへ

──読者の皆さんの中には、Salesforceの導入を検討していたり、迷っていたりする団体の方々もいらっしゃるかと思います。ぜひお二人からメッセージをお願いいたします。

Kさん:「Salesforceは難しそう」という印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、すでに導入・活用している団体の方にお話を聞いたりしながら、「実際に何が実現できるのか」という具体的なイメージを持つことが大切だと思っています。

また、Salesforce上には、データや数字、情報などと一緒に、寄付者お一人おひとりの「想い」も蓄積していくことができると思っています。「どんな方々が、自分たちを応援してくださっているのか」「どんな想いを、自分たちはお預かりしているのか」ということを感じることができます。そういった大切な想いも反映させながら日々の活動に繋げていくことができる、ということもぜひ読者の皆さんにお伝えしたいです。

Nさん:自分たちの経験からお伝えすると、マンスリーサポーターが250〜300名のタイミングで導入を決めましたが、もしこれが100名の時点で決めていれば、導入に向けた作業はもっと少なくて済んだとも思っています。もし今、「導入を決めるか、決めないか」というところで迷っているようでしたら、「導入を決める」ことをオススメします。

ただもし、「人員」が理由で迷っているようでしたら、たしかにSalesforceの担当を誰にするのかなどの難しい判断もあるかと思いますので、もしかしたら導入のタイミングではないのかもしれません。

一方で、導入のコストが高いのではないか、予算に見合った効率化が本当に進むのだろうかといったような、「予算」が理由で迷っているようでしたら、「回収されます」とお伝えしたいです。団体の大切な情報が整理整頓されていない状態で活動を続けることはリスクです。もし何か起こってしまうと、取り返しがつかなくなる可能性だってあります。それを予防する意味でも、「システム導入は、かけるべき予算である」と私は思っています。

──Nさん、Kさん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

 


 

ReBit様は、Salesforceの導入の際に、NPOサポートセンターが提供する「導入支援パッケージ」というサポートメニューをご利用されました。その感想についてもお二人に伺っておりますので、ぜひあわせてお読みいただければ幸いです。

→ 外部の「伴走」をうまく活かし、導入を確実に進めることができた【Salesforce導入支援の事例(ReBit様)】

団体名
認定NPO法人ReBit
設⽴年⽉
2009年12月1日 団体設立
2014年3月3日  「特定非営利活動法人ReBit」となる
2018年7月26日 「認定NPO法人ReBit」となる
組織規模
1億6千万円(2023年度収入)
メンバー数
23名
Webサイト
https://rebitlgbt.org
事業内容
学校・行政・企業でLGBTQやダイバーシティに関する授業/研修を約2,200回、22万人以上に提供。多様な性についての教材作成や、LGBTQの就活生ら約13,000名超のキャリア支援を行う。また、LGBTQなど多様性にフレンドリーな就労移行支援事業所を、渋谷区と大阪市で運営。

※こちらは2024年6月時点の記事です。登場人物の所属・役職は記事作成時点のものです。

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