公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン様(Salesforce活用事例)
スタディクーポン事業・寄付者管理でSalesforceを活用!
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(以下、CFC)は、家庭の経済格差による子どもの教育格差を解消し、貧困の世代間連鎖を断ち切ることを目的に活動している団体です。
主な活動として、経済的困難を抱える子どもたちに学習や文化・スポーツ、体験活動等で利用できるスタディクーポンを提供しています。
CFCは元々、阪神・淡路大震災で被災した子どもたちの支援を行ってきたNPO法人ブレーンヒューマニティーの一つのプロジェクトとして発足。2011年に発生した東日本大震災に伴い同団体から独立し、法人が設立されました。
今回は、CFCの広報・ファンドレイジング部の山本雅(やまもと・みやび)さんにSalesforce導入の背景や活用の様子についてお話を伺いました。

寄付金を原資に経済的困難を抱える家庭の子どもたちに「スタディクーポン」を提供(スタディクーポンの取り組みより)
◆ 導入の背景と、現在の活用状況
──Salesforce導入当時の様子をお聞かせいただけますか?
山本:はじめにSalesforceを導入したのは「スタディクーポン事業」でした。
スタディクーポンの利用先は、学習・文化・スポーツ・体験活動などの選択肢の中から、子ども自身がやりたいことを選ぶことができるのですが、そのクーポンを提供しているお子さんの情報管理のために導入しました。また、子どもたちをサポートする大学生ボランティアの情報や、大学生ボランティアが実施する子どもたちとの面談の情報を管理するのも導入の目的でした。
導入時には、SalesforceのNPO向けの寄贈・割引プログラムを活用しました。当時、独自のシステムを導入するほどの予算もなかったため、助かりました。
──現在はどんな業務でSalesforceを活用されていますか?
山本:導入時から継続して、子どもたち・大学生ボランティアなどの情報管理や、クーポンの利用先についてのデータの管理で活用しています。ほかにも「どのお子さんが、どの教室でクーポンを使っていて、どのくらいの利用率なのか?」といったクーポンの利用状況の把握にも利用しています。
事業以外では、寄付者管理でも活用しています。個人・法人の寄付者さんの基本情報や入金情報、会員データや寄付データなどもSalesforceで管理しています。

CFCは、学習塾や習い事、体験活動等で利用できるスタディクーポンを提供している(©Natsuki Yasuda)
◆ 団体内でSalesforce活用が広がった背景
──スタディクーポン事業と寄付者管理の両方でSalesforceを活用されているのは特徴的なポイントだと思います。団体内で活用が広がった背景をお聞かせいただけますか?
山本:寄付者さんの人数が増えるにつれて、情報管理も大変になってきました。そこで、Salesforceを寄付者管理でも使っていこうという流れが始まりました。それが10年ほど前の話です。
しかし、じつはすぐに浸透したわけではありませんでした。CFC内にエクセルが得意なメンバーも多く、エクセルとSalesforceの両方で寄付者管理をしていた時期が長く続きました。
──なるほど。その後、Salesforceのみに絞ろうとなった背景もお伺いできればと思います。
山本:エクセルとSalesforceそれぞれに情報が格納されているため、「どちらが最新の情報なのか?」というのが、パッと見てすぐにわからないことが何度も発生していました。
寄付者さんにDMや活動報告書、イベントのご案内などを送付する際には、エクセルのデータや会計のデータから情報を引っ張り出してくるため、送付リストを作成するのも一苦労でした。また、寄付者さんが増えてくると、当然データの量も増えていきますので、作業中にエクセルが固まってしまうこともありました。
さらに、エクセルの作業ではマンスリーサポーターに年に一回お送りする領収書の発行の負担があまりにも大きくなってしまい、Salesforceに絞ろうとなった一つ大きな要因にもなりました。

左:CFCの山本さん / 右:インタビュアー(NPOサポートセンターのスタッフ)
◆ 導入して良かったこと、便利だと思う機能
──導入前と比べての変化や良かったことをお伺いできればと思います。
山本:どれが最新の情報なのかを、パッと見て迷わずに把握できるようになったのは、まさに良い変化です。メンバー間でリアルタイムに情報共有できるのもありがたいです。
セキュリティの面でも安心して使うことができています。自治体との事業も行なっていますが、実際に自治体の方からも「Salesforceだと安心」といった声もいただいています。
──Salesforceの機能や使い方で、特に便利だと思ったものがあればお聞かせください。
山本:わたしは主に寄付者管理でSalesforceを利用していますが、「レポート機能」はとても便利です。たとえば、ある特定の条件の方々にだけイベントのご案内等をお送りしたいとなった場合に、そのリストを一発で出せるようになり、とても役に立っています。
事業チームでは、月次のKPIの確認で「ダッシュボード」を使っています。クーポンをいくら提供しているのか、実際に今いくらクーポンが使われているのか、といったところをKPIとして追っていますので、ダッシュボードを活用して、しっかりと見える化できています。

Salesforceの機能「ダッシュボード」の実際の画面(画像提供:CFC)
◆ Salesforce導入を迷っている方々へ
──読者の皆さんの中には、Salesforce導入を迷っていらっしゃるNPOの方々もいらっしゃると思います。もしオススメのポイントなどがございましたらお聞かせいただけますか?
山本:Salesforceを活用しているNPOも多く、使い方やコツなどを周りの団体に相談しやすい環境が整ってきていると感じています。
また、NPOサポートセンターさんのように、中間支援団体で導入・活用をサポートしてくださるところも多いので、安心して使えるというのもオススメのポイントだと思います。
──貴重なお話をありがとうございました。
- 団体名
- 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
- 設⽴年⽉
- 2009年11月1日
特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティーの事業として発足
2011年6月20日
一般社団法人チャンス・フォー・チルドレン設立
2014年1月6日
内閣総理大臣より認定を受け、公益社団法人となる
- 組織規模
- 3億3千万円(2022年度収入)
- メンバー数
- 常勤職員 20名(2024年3月時点)
- Webサイト
- https://www.cfc.or.jp
- 事業内容
- 主に経済的な理由によって教育を十分に受けることができない子ども、若者(以下、子ども等という。)及びその家族に対する支援活動を通じて、貧困の世代間連鎖を断ち切ることを目的としています。
(1)子ども等に対する学校外教育を受けることができる利用券(学校外教育バウチャー)の提供
(2)子ども等に対するアドバイザーの派遣
(3)学校外教育機関及び子ども等の支援機関に対するコンサルテーションの実施
(4)子ども等に関する調査研究及び政策提言の実施
(5)子ども等に関する事業の受託及び子ども等に関する施設等の管理運営
(6)子ども等を支援する他の団体に対する助成事業
(7)前各号に附帯する事業及び関連する事業
※こちらは2024年6月時点の記事です。登場人物の所属・役職は記事作成時点のものです。