最近までボランティアのイメージが強かったNPO/NGOの仕事

一方で、仕事や働き方の選択肢が多様化するなか、NPOやNGO等を指す「ソーシャルセクター」を就職、転職先として選ぶ人も出てきており、セクターを超えた人材の流動性が高まっています。アメリカの大学生が選ぶ魅力的な就職先ランキングでは、NPOであるTeach For Americaが2016年には8位、2017年には10位に、ディズニーやGoogleなどの有名企業と並んでランクイン※。

日本でも、ソーシャルセクター等で働く女性を指す「N女」の書籍化、ソーシャルセクターに特化した就職イベントの開催など、NGO/NPOの仕事や働き方に関心が集まっています。

では、そのような社会課題の解決を仕事にする「ソーシャルキャリア」とは、どのようなものなのでしょうか?

2017年10月、まさにこのテーマを取り上げたイベントCMP朝刮 第3回「ソーシャルキャリアを考える 〜『とりあえず企業で3年』は至言か?神話か?〜」(主催:NPO法人e-Education / 認定NPO法人カタリバ(会場協賛)が開催されました!

(写真:イベント終了後に参加者、登壇者全員で撮影)

今回は、NPOで働く3人のN女たちがソーシャルセクターの仕事や働き方のリアルを語った、本イベントの模様をお伝えします!

※参考記事:https://universumglobal.com/rankings/united-states-of-america/https://universumglobal.com/rankings/united-states-of-america/2016/

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登壇者

ファシリテーター:薄井大地
(NPO法人e-Education 事務局長)
2011年、社会課題解決の取り組みの成果を競い合う国際コンペティション「SIFE(現Enactus)」国内大会優勝。同年、早稲田大学学生文化賞および稲魂賞を受賞。大学卒業後は、不登校生の高校進学・転学を支援する民間教育企業を経て、2015年5月よりe-Education事務局長に就任。2016年5月、TEDxICU登壇。http://eedu.jp/

 

ゲスト:嘉数菜利子
(認定NPO法人カタリバ ハタチ基金事務局担当)
1989年1月生まれの88年組。沖縄県八重瀬町出身。
立命館大学卒業後、都内のIT企業に新卒入社、営業職に従事。2014年5月、学生時代にインターンとして関わっていた認定NPO法人カタリバへ転職。東日本大震災の被災地の子ども達を継続的に支援する「ハタチ基金」事務局を主に担当している。准認定ファンドレイザー。https://www.katariba.or.jp/

 

ゲスト:佐藤希美
(公益財団法人日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo) 学生ボランティア派遣事業担当)
1992年生まれ。学生時代にNPO法人CFFのプログラムリーダー、事務局インターンとして、世界の厳しい立場に置かれた子どもたちの支援や青少年育成に取り組む。NPOサポートセンター主催のキャリアカレッジに参加し、2015年より現職に従事。現在は福島県や様々な災害の被災地に学生ボランティアを派遣している。

 

ゲスト:佐藤祥子
(NPO法人NPOサポートセンター 人材育成事業担当)
1992年生まれ。幼少期7年間をタイで過ごし、通信制高校を経て法政大学に進学する。在学中に経験した東日本大震災をきっかけに、東北支援の学生団体を設立。一般企業を経て、2016年より現職。社会課題解決をめざす事業を対象とした「Good Business Studio」等の研修事業を担当。また、同団体が受託・運営する恊働ステーション中央では、社会貢献活動のコーディネートに取り込む。http://npo-sc.org/

 社会貢献を仕事に!N女たちのキャリア

薄井大地(以下、薄井):ソーシャルセクターに就職、転職したきっかけと現在の仕事内容を教えてください。

佐藤祥子:大学生のころ災害ボランティアの学生団体を立ち上げた経験から、防災に貢献できる仕事を、と地図の会社に入り、その後中間支援組織であるNPO法人NPOサポートセンターに転職しました。

団体としてはNPOの経営支援をメインに活動していて、その中で私は「Good Business Studio」という研修事業と、当センターが受託、運営する協働ステーション中央という社会貢献施設の運営を担当しています。

佐藤希美:私は現在働いている公益財団法人日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo)に新卒で入職しました。大学生の時にマレーシアで参加した国際協力の活動から社会貢献を仕事にしたいと考え、新卒で働けるNPOなどの団体に絞って就職活動を行いました。

東日本大震災をきっかけにスタートした「ながぐつ」プロジェクトをはじめとする事業を担当し、主に被災地に学生ボランティアを派遣しています。

嘉数菜利子(以下、嘉数):現在職員として働いている認定NPO法人カタリバ(以下、カタリバ)で大学生の時、半年間インターンをした後、新卒で入社したIT企業を経て、再びカタリバに正職員として戻ってきました。

所属はカタリバにありますが、様々な専門性を持つ子ども支援団体と協働しながら、東日本大震災の被災地の子どもたちに寄り添い、20年間継続的に支援を行う公益社団法人ハタチ基金の事務局を担当しています。

薄井:みなさん、大学生のころにソーシャルセクターで活動した経験が入職のきっかけになっていますね。

キーワードは納得感?NPOを選んだ理由

薄井:佐藤祥子さん、嘉数さんは、何年目でNPOに転職しましたか?

佐藤祥子: 2年と数ヶ月で転職しました。辞めるタイミングは悩みましたが、営業と企画という2つの部署を経験し、自分の中で仕事や成果に対する納得感が得られたタイミングで転職を決意しました。

転職先として防災関連のNPOも考えましたが、当時仕事をしながらNPOの経営課題解決に取り組むプロボノ(基本的に無償で社会人が専門知識やスキルを提供するボランティア活動)をしていてその分野に関心を持ったこと、また転職先を探していた時にスタッフにお世話になったご縁もあり、今の団体を選びました。

嘉数:私はまず、年次を問わず主体的に仕事に取り組む社風に惹かれ、不動産情報サイトを運営するIT企業に新卒入社しました。しかし、社会人2年目にふと将来やキャリアを考えたら、今の仕事に時間を費やしていてよいのか不安を感じるようになりました。

教育機会格差の問題に関心があり、行政や民間ではアプローチが難しい分野での仕事がしたいと思い、その時求人を出していたカタリバに手を挙げさせていただきました。

薄井:2人とも新卒入社した民間企業から3年以内に転職していますね。入社後3年はいるべきだと言われることもありますが、私も自分の納得できるタイミングであれば転職はいつでもよいと思います。

以前は中途採用ばかりが目立ったNGOやNPOも、最近では事業の拡大によって新卒採用をするところも増えてきました。佐藤希美さんの就職活動はどのようなものだったのですか。

(写真:登壇者のトークを聞いてディスカッションをする参加者)


佐藤希美
:私は2人とは違って大学卒業後、新卒としてNPOで働き始めました。

就職活動をしても納得できず、NPOサポートセンターの就職・転職支援の研修に参加したことがきっかけで今の団体に入りました。学生が成長する過程を間近でみられるなら活動の場所やセクターにこだわりはなかったです。

NPOで働くことは就業時間の長さ、給与の低さ、ひとりひとりのタスク量が大きいなど、大変な部分もありますが今の仕事にやりがいを感じます。

企業(団体)研究では、団体側とのミスマッチを最小限にするために団体の掲げる「ミッション」「ビジョン」に賛同できるかをとても重要視していました。

合致するところを探すのは苦労しましたが、その分私のミッションがしっかりしていることを団体は評価してくれました。

両者で働いて分かった、NPOと民間企業の違い

薄井:佐藤祥子さん、嘉数さんは民間企業からNPOに転職し、両方での勤務経験を持っていますが、実際に働いてみて感じた両者の違いはありますか?

佐藤祥子:「働く人」という観点で見ると、まずは規模が違うと思います。以前の会社が社員2000~3000人だったのに対して、今のNPOの常勤職員は5人ほど。もちろんNPOによるので、もっと規模の大きい団体もあります。

また総務、営業などの職種ではなく、事業やプロジェクト単位で業務を分担し、基本的には2~3人のチームで企画や営業などの業務を全て行うマルチタスクです。

あとは働き方にも違いがあります。常勤/非常勤職員、アルバイトなどの有給スタッフに加えてインターン、ボランティアなど金銭的な対価が発生しない多様な関わり方の人も一緒に働いています

嘉数:一般企業との違いはあまり感じません。ソーシャルセクターは「ベンチャー企業」のような印象です。

民間企業等で身につけたビジネススキルを活かして活躍されている方も多いですし、私自身も前職の営業の経験や培った資料作成のスキルが役に立っていると感じます。そのため、企業でもNPOでも、求められていることに違いは感じていないです。

あえて違いを挙げるならば、ステークホルダーの多さです。ひとつの事業に関わるステークホルダーが多い分、調整に時間もかかります。

薄井:業界の規模は拡大しているといってもまだまだ小規模なソーシャルセクターが大半です。パッケージ化された研修制度がないためマルチスキルを求められたり、実務を通じてスキルを獲得するところが多いのも事実です。

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後編では、N女たちが実際に就職・転職してから見た世界と今後のキャリアについて語ります。
編集・構成:安田有美子(NPOサポートセンター)

▼後編も公開中!ぜひご覧ください。▼

NPO・ソーシャルセクターで働いている方へ

自分とチームと社会がつながる、
ソーシャルセクターの仕事観をみがく「若手スタッフ研修」

 

 

 

 

 

NPOやソーシャルセクターで働くスタッフの中には、仕事にやりがいを持ちつつも、キャリアに不安を感じている人が多いのではないでしょうか。

少人数で常に忙しく、整理されたキャリアパスが少ないなかで、他のセクターで働く同世代と、悩みを共有できないもどかしさを感じている方もいらっしゃると思います。

一方で、COVID-19で社会情勢が不安定になるとともに、わたしたちは、働き方や生き方の価値観を迫られています。
・どうしたら組織のなかで自分の役割を活かし、社会により貢献できるのか。
・自身が伸ばしていくスキルやマインド、成長のポイントはどこか。
・変化を乗り越えることができるチームワークと行動力がほしい。

本ゼミでは、組織も巻き込んで、自分自身のキャリアを磨き、実行していけるよう、その”基幹力”となる考え方を身につけます。

✔️団体での3-5年後を見据えた自分のキャリアを考えたい方
✔️日々の業務に追われて、面談やフィードバックの機会が少ない方
✔️団体で長く働きたい / 長く働いてほしいけれど、具体的な活躍のイメージがまだつかめない方
にもおすすめです。

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■開催概要:
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<開催日時>
[第1回]11月25日(水)14:00-17:00
[第2回]12月10日(木)14:00-17:00

<講師>
田畑浩(株式会社パーソナルヴィジョン研究所 代表取締役)

<定員>
・Zoom受講 : 25名
・聴講生 : 100名

<受講料 : 2回セット料金>
・料金プランA(Zoom受講) : 10,000円 / 1人
・料金プランB(聴講生) : 5,000円 / 1人(オンライン参加のみ)

<対象>
・NPO/ソーシャルセクターでのスタッフ経験が5年以内の方
・上司やマネージャーとの面談、フィードバックをもらう機会が少ないと感じている方
・団体で働くうえでの自分の強みや弱み、モチベーションなどが把握できないと感じている方

▼お申込み、詳細はこちらから
https://npo-sc.org/training/good-business-studio/curriculum/20113/

お問合わせ:NPOサポートセンター(佐藤)
TEL:03-6453-7498 / E-Mail:gbs@npo-sc.org