ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(以下、UWC ISAK [アイザック] )は、世界の様々な境遇の若者を受け入れ、彼らがお互いの価値観に触れ、真の国際理解を深めることで、より良い社会のために変革を起こせるチェンジメーカーを育てることを理念に掲げる学校法人です。
UWC ISAKは全寮制の国際高校で、長野県軽井沢町にあります。
国籍だけでなく、社会経済、宗教、歴史観から見ても非常に多様性に満ちた環境の中で、世界83カ国から集まった約200名の高校生たちが寝食を共にしながら3年間を過ごしています。
全寮制国際高校というユニークな構想は日本初で、同法人は一口1,000万円で100名のファウンダーを募り、2009年にISAK設立準備財団を設立し、2014年に開校しました。
現在も生徒への給付型奨学金をはじめ、寄付やボランタリーな精神に支えられて運営されています。
設立から2年が経過したころ、学校、運営チームの規模の大きさやスピードが変わりはじめました。
サステイナブルな学校運営のため、代表理事の小林りんさんが持つアイディアやネットワークを、個人のものではなくUWC ISAKチームとしての戦略と実行に移す仕組みが求められていました。
この組織課題を解決するために、2016年、NPO向け支援者管理業務ソフト「 GOEN DRM 」の導入を決めます。
GOEN DRM を選んだ背景や現在の活用法を、同法人のファンドレイジングを担当するデベロップメントチームの牛来(ごらい)さんと町田さん、それを支えるチームGOENの社員の皆さんから詳しくお話を伺いました。
支援者管理業務に必要な機能が集まったGOEN DRM
寄付フォーム、領収書テンプレート、ダッシュボードなどが、導入後すぐに使える
GOEN DRMはセールスフォースを活用した日本初のNPO向け支援者管理業務ソフトで、株式会社エニシフルコンサルティングのチームGOENが提供しています。企業のCRM(顧客接点業務)の改善、セールスフォールの導入実績多数のコンサルティング企業です。
チームGOENは20名以上で構成され、全員がセールスフォースの認定資格保持者であるとともに、認定ファンドレイザー5名をはじめとしたメンバー全員がファンドレイザーの資格保持者でもあります。(2019年10月現在)
チームGOENは営利企業のコンサル経験で得たノウハウを非営利業界で活用する、新しい形の社会貢献としてスタートし、メンバーのプロボノ活動を促進するために GOEN DRM が開発されました。
ファンドレイザーでもあるチームGOENのメンバーが非営利団体のために支援者管理業務を整理し、直接システムを設計・開発した、支援者管理業務に特化した統合アプリケーションです。
GOEN DRMの開発により、少ないメンバー数で多くの団体をサポートすることが可能となりました。2015年のシステム提供開始以来、70以上の団体に導入し、今もサポートをし続けています。
斉藤(GOEN) : GOEN DRM は、寄付フォームをwebサイトに容易に設置できます。クレジットカード決済ができるだけでなく、入力された情報がセールスフォースのデータベースに自動的に入ります。
さらに、自動的に登録された情報から「自動メール返信」、「領収書発行」、「お礼状発行」、「支援者分析結果のグラフ化」もできます。
斉藤(GOEN) : 寄付の履歴だけではありません。ボランティア、物品寄付の管理もできます。様々なかたちで応援してくれる支援者を、寄付金額だけでない関係性で把握することが重要だと考えたからです。
斉藤さん、佐藤さんをはじめ、20名以上の社員が「チームGOEN」としてNPOへの導入に関わっており、データベース導入だけでなく、CRMやファンドレイジングの視点でアドバイスできることが強みです。
関わり方が様々な支援者様に対応できるサービスを探していた
UWC ISAKのデベロップメントチーム 牛来みづほさん(右)、町田陽子さん(左)
支援者管理を本格的に検討する2017年まで、同法人の支援者の記録は、複数のExcelスプレッドシート、経理の入金管理データ、EメールBOXあるいは代表の頭の中のそれぞれにありました。
牛来 : 複数のスプレッドシートに、ボランティア含む個人支援者様が1,100人以上いました。寄付者様が600人、さらに法人様が100社。シートをアップデートしても全体性は見えず、データが並んでいるだけで、戦略的な判断ができませんでした。
代表の小林さんと当時のファンドレイジング担当職員は、他社ソフトも検討していました。けれどもビジネス用のCRMツールを寄付や支援者管理業務で使うには、追加の開発費用が必要でした。
支援者管理に特化した GOEN DRM の価格設定は、開校したてでシステム投資費用を抑えたい同法人にとって魅力的でした。
牛来 : ボランティア登録、寄付の使途指定記録をはじめとする支援者管理全般で使用できたことが決め手だったようです。
ボランティアの想いに支えられて始まった学校なので、個人の支援者様を含め、本当に沢山の方々に様々な形でご支援いただきました。そのため、個人の支援者様をはじめ、これまで関係したあらゆる方々のリストが山のようにある状態でした。
チームGOENのプロボノによる手厚いコンサルティングサポートも非常に助かりました。本校にはITやデータ管理、CRMに詳しいスタッフがいない状況で、細かな質問に丁寧に対応いただけたことで導入が実現したと思います。
生徒やご家族、学校の支援者様の情報を一括管理できるアプリ
写真左から、チーム GOEN の佐藤さん、斉藤さん、UWC ISAKの町田さん、牛来さん
当時のファンドレイジング担当職員の方が中心となり、UWC ISAKのインターン生も参加しながらGOEN DRM の導入作業を進めました。システム環境ができた段階で、町田さんが導入メンバーに加わり、スプレッドシートのデータ移行が始まります。
町田 : スプレッドシートにある数字だけでなく、本校との関係性について代表と事務局長にヒアリングし、GOENに記録していきました。
1,000名を超える支援者の所属、氏名、住所、連絡先に加えて、生徒、生徒の親、あるいは開校前からのファウンダー支援者なのか等、同法人との個別の関係性を町田さんは記録していきました。
町田 : ご支援の記録は寄付やボランティアだけでなく、物品寄付なども含んでいます。本の寄贈やAmazonほしい物リストを通じた支援、法人からの物品寄付、会場協賛の利用時間まで GOEN DRM に記録しています。
佐藤(GOEN) : GOEN DRM に支援データの一括取り込みをする前に行った細かな支援者情報のヒアリングは、本当に大変そうでした。それでも最初の導入段階で整理されたことが今後の大きな財産になるので、大変良い判断をされたと思います。
チームGOENからは、導入コンサルティングを2名体制でサポート。さらに今回はUWC ISAK、軽井沢町、チームGOEN で協議し、ふるさと納税の申込フォームを別途開発しました。
牛来 : ふるさと納税サイト経由の寄付は、入金2か月後に自治体から寄付があったことが知らされます。UWC ISAKのサイトからお申込みいただくことで、タイムラグ無く支援者様にお礼ができ、広告費も抑えることができています。
軽井沢町のふるさと納税を活用した同法人の寄付は年間3億円に上り、このうち95%がチームGOENと開発したフォームからの申込みです。寄付者と軽井沢町、UWC ISAKの三者にとって良い結果が生まれています。
学校運営特有のファンドレイジング戦略実行を目指す
緑豊かな軽井沢キャンパスで学ぶ UWC ISAK の生徒のみなさん
支援者管理ソフト GOEN DRM の導入がきっかけとなり、同法人内にファンドレイジングを担当する「デベロップメントチーム」が発足しました。
町田 : 「これからご支援者の〇〇様とお会いするので、すぐにこれまでのご支援情報を知りたい」というリクエストに即対応できるようになりました。
GEON DRM がなかったらスプレッドシート、経理データ、メール履歴を掘り起こす時間が必要でした。いまでは何のデータでもすぐに出せますよ、という体制が整っています。
複数回支援、継続支援者の対応にもGOEN DRM の記録データが役立っているようです。一斉配信のメール連絡ではなく、支援状況に応じて個別にカスタマイズして手厚い対応ができるようになりました。
導入後の一年で支援者データはきれいになり、知りたかった支援者情報を適切に把握できるようになった為、支援者対応の質が格段に上がりました、と牛来さんは振り返ります。
牛来 : ご支援が単発なのか、継続的なのか、イベント参加でなのかを分析できるようになりました。現在、マンスリーサポーターの支援者様について分析しています。GOEN DRM のデータを見ながらアプローチ施策、行動計画を立てています。
GOEN DRM の魅力、今後の展開を語るUWC ISAKの牛来さん(右)
小林りんさんの多様な支援者ネットワークや、支援者様との長期的な関係構築が続くUWC ISAKの運営にとって、GOEN DRM はなくてはならないシステムになっているようです。
牛来 : 数々のスプレッドシートや、経理データ、メール履歴、そして代表の頭の中だけにあった支援者様のネットワークが可視化されたことで、チームとして取り組みやすくなりました。
営業活動の分析と行動計画には、数字が無いと判断ができません。それがGOEN DRM で容易にできるようになったのが大変ありがたいです。
町田 : 苦労して支援者様情報を整理した甲斐があり、お名前や本校とのつながりが手に取るようにわかるようになりました。例えば新聞記事に載っているお名前が支援者様だと気づけたり。
イベントでは初対面のはずなのに、自然に支援者の皆さまとお話ができます。問い合わせメールのお名前も親しみを持って気づけるようになりました。
スプレッドシートを手作業で直し、支援者の方々について代表と事務局長からヒアリングした時間が実り、私たちのチームの強みになったと思っています。
牛来:本校の生徒は、卒業後世界中に散り散りになるため、生徒同士も簡単には会うことができなくなってしまいます。将来ふと母校を振り返ったとき、UWC ISAKの卒業生というコミュニティはかけがえのない存在になると思っています。
大学生の間はまだ金銭的な寄付は難しいと思いますが、社会人になったらマンスリーサポーターを通じて、これからのUWC ISAKを支えてもらえるようなコミュニティづくりや働きかけをしていきたいと思っています。
FRJ2017 へは希望した生徒を招待。その際に生徒から届いたお礼の色紙は、チーム GOEN の活力の源です。
斉藤(GOEN) : UWC ISAKさんは、運用中に発生した疑問点をこまめに質問されたり、GOENユーザ限定の勉強会へ参加されたり、GOENをより活用できるよう熱心に取り組み続けておられました。それが現在の素晴らしい運用につながっていると思います。
今後もGOEN DRM でデータ分析いただき、GOENユーザ限定の勉強会ではノウハウをますます習得していただき、更なる飛躍もご一緒していけたら嬉しいです。
佐藤(GOEN) : UWC ISAKさんは、寄付によって設立されただけでなく、寄付によって運営もされている珍しい学校です。
大学等の教育機関では、交付金が削減される等ますます厳しい社会情勢となっていくため、寄付をはじめとした新しい財源の確保が不可欠です。UWC ISAKさんの取り組みが、他の教育機関の新しい教育・研究財源の在り方について、ヒントや道しるべになればと思っています。
寄付やボランティアだけでなく、学生ご家族のデータ管理をはじめ、学校法人の経営とGOEN DRMは非常にマッチします。10年、20年先の学生のサクセスストーリーを追えるような情報管理をご一緒できるよう、これからも進化を続けます。
支援者管理を丸ごと効率化する「GOEN DRM」の詳細が気になった方はぜひ、株式会社エニシフルコンサルティングのチーム GOEN にお問合せください。
本記事は「株式会社エニシフルコンサルティング」のご提供により企画されました。