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学習塾や体験活動で利用できるスタディクーポンを紙から電子化。多様な学びをすべての子どもに【チャンス・フォー・チルドレンのAWS活用事例】[ PR ]

最近、子どもの「体験格差」という言葉を耳にするようになった読者の方も多いのではないでしょうか。

実際、今回の記事でご登場いただく公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(以下、チャンス・フォー・チルドレン)が2022年に実施した「子どもの『体験格差』実態調査」の調査結果は、さまざまなメディアでも取り上げられました。チャンス・フォー・チルドレンは、経済的な困難を抱える子どもたちに、学習塾や習い事、体験活動等で利用できるスタディクーポンを提供し、教育格差の解消を目指している団体です。

さて本記事では、チャンス・フォー・チルドレンの小嶋さんにお話をお伺いしました。もともとは紙のクーポンだったところを電子化し、ITへの投資も続けながら、できる限り多くの子どもたちに多様な学びの機会を提供しようと団体として取り組まれていらっしゃいます。

デジタル化やDX化の推進をお考えの皆さんにとって、少しでもヒントになれば幸いです。

(*)冒頭の写真に写っていらっしゃるのが小嶋さんです。

■インタビュイー:
・公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン 経営企画部 小嶋 新さん

■聞き手:
・アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 パブリックセクター アカウントエグゼクティブ 上田 圭祐さん

目指すのは経済状況や一人ひとりの特性に関わらず、子どもたちを多様な学びの機会によって包摂できる社会──

上田 : 本日はよろしくお願いします。はじめにチャンス・フォー・チルドレンの簡単なご紹介からお願いできたらと思います。

小嶋 : チャンス・フォー・チルドレンは、家庭の経済格差による子どもの教育格差を解消し、貧困の世代間連鎖を断ち切ることを目的として活動を続けている団体です。

もともとチャンス・フォー・チルドレンは2009年に、阪神・淡路大震災をきっかけに設立された、子ども向けにキャンプなどの体験機会を提供するNPOのプロジェクトとして発足しました。そして2011年に東日本大震災を機に法人設立し、2021年には法人設立10年を迎えました(参考:設立10年特設サイト)。

主な活動として、経済的な困難を抱える子どもたちに、塾や習い事、体験活動等で利用できるスタディクーポンを提供しています。

上田 : スタディクーポンのご紹介もお願いできたらと思います。

小嶋 : 個人や企業の方からいただいたご寄付を原資にして、経済的困難を抱える家庭の子どもたちに対して「学校外の教育機関で利用できるスタディクーポン」を提供しています。スタディクーポン事業は2011年から展開しております。

学習だけでなく、文化活動・スポーツ・体験活動などの多様な選択肢の中から、子ども自身がやりたいことを選べます。地域の3,000以上の教室や団体がクーポンの利用先として参画しており、子どもからのリクエストに応じて随時教室等を追加しています。

スタディクーポンのスキーム《チャンス・フォー・チルドレンの活動内容・実績ページより

学習や体験活動など豊富な選択肢がある《チャンス・フォー・チルドレンの活動内容・実績ページより

2022年度のチャンス・フォー・チルドレンの活動実績《2022年度年次報告書より

AWSの利用状況と選んだ理由。そしてスタディクーポンの手続き・管理をデジタル化した背景について

上田 : ご活動の中で、AWS(*)をどのようにご利用されていらっしゃいますか?

(*)アマゾン ウェブ サービス (AWS)は、世界で最も包括的で広く採用されているクラウドプラットフォームです。世界中のデータセンターから200以上のフル機能のサービスを提供しています。急成長しているスタートアップ、大企業、主要な政府機関など、何百万ものお客様が AWS を使用してコストを削減し、俊敏性を高め、イノベーションを加速させています。

小嶋 : クーポンの利用先を検索するサイトや、クーポンの利用者(子どもや保護者)・事業者(学習塾や教室など)それぞれの管理者ページなどでAWSを活用しております。

クーポンの利用先を検索するサイト(https://search.cfc.or.jp/cfc3

上田 : AWSをお選びいただいた理由もお聞かせいただけますか?

小嶋 : 開発は外部にお願いしましたので、開発会社がAWSを選んだかたちにはなるのですが、AWSを活用してサービス構築する実績をこの開発会社がすでにお持ちだったということが理由の一つだったと伺っています。

ほかの理由としては、クーポンを発行する時期は年度のはじめの方に重なるのですが、その時期だけアクセスが増えたりそれ以外の時期は減ったりしますので、AWSですと、アクセス数に応じてシステムを拡張したり縮小したりすることでリソースの最適化ができるということも決め手の一つだったと伺っています。

上田 : いまクーポン発行のお話もちらっと出ましたが、スタディクーポンの手続きや管理もデジタル化されていらっしゃると事前に伺っております。デジタル化に至った背景もお伺いできればと思います。

小嶋 : スタディクーポンはもともと紙のクーポンでした。1枚1,000円でしたので、もし仮にクーポン給付額が一人当たり20万円だとすると一人につき200枚の紙のクーポンをお渡しすることになります。しかし現在は電子化されています。

デジタル化に至った背景はいくつかあるのですが、チャンス・フォー・チルドレンという組織自体の規模が大きくなっていき、また、クーポンを受け取る人も増えていく中で、紙のクーポンでオペレーションを回していくのがどうしても困難になってきたということが理由の一つとして挙げられます。

加えて、デジタル化することで、クーポンの利用状況をリアルタイムで把握し、子どもたちのサポートを行いやすくしたかったこともあります。紙のクーポンだと執行を処理して、利用を把握できるのが翌月になってしまいます。

もともとは紙のクーポンで、いまは電子化されている(©Natsuki Yasuda / Dialogue for People)

デジタル化を推進した先にある機会や可能性とは?

上田 : ここまでのお話を伺って、組織としてデジタル化を力強く推進されていらっしゃる印象を受けました。実際、組織内におけるデジタル化への雰囲気はどのような感じなのでしょうか?

小嶋 : はい、チャンス・フォー・チルドレンとしては基本的にデジタル化を推進する方向で動いています。

いまでも在宅勤務のメンバーが多いこともあり、リモートで仕事ができる環境をつくっていこうという雰囲気があります。ですので、自然といろいろなことをデジタル化していこうという流れになっているのではないかと思います。

ほかにも社内のシステムでいいますと、まだ実現はできていないですが、たとえば会計システムのクラウド化にも着手したいと考えています。

上田 : なるほど。

小嶋 : わたしとしても、業務を効率化できるところのデジタル化はさらに進めていくと良いと思っています。

そして、効率化したことで生まれる「時間」があるならば、メンバーはその時間を使って、利用者や事業者、寄付者の方々とお会いしてコミュニケーションする機会をどんどん増やしていくと良いのではと考えています。つまり、デジタル化を推進しながらも対面の重要性も忘れないようにして、利用者や事業者、寄付者の皆さんとの信頼関係をいままで以上に築いていければと思います。

同様に、リモートで仕事ができる環境もさらに整えていくことで、いろいろな人がさらに働きやすくなります。さらには、場所や地域に縛られることなく業務ができることで、採用候補者の対象も広がり、ひいては非営利セクター全体も活性化していくのではとも思っています。

できる限り多くの子どもたちに多様な学びの機会を提供するために──

上田 : 最後に、今後見据えていることや今後の構想などについてお伺いできればと思います。

小嶋 : この先も、ITへの投資をもう少し続けて、システムを改善していこうという話は社内で出てきています。特にシステムの使い勝手の部分については今後も改善していくと思います。

チャンス・フォー・チルドレンとしては、できる限り多くの子どもたちに多様な学びの機会を提供したいと考えています。そのための事業のコアとしてスタディクーポンのシステムというものがありますので、今後さらに事業を展開していくにあたって、システムの部分は引き続きしっかりと固めながら、さらにはちゃんと改善していくことがとても大切なことです。

上田 : ITにも投資されていらっしゃることがしっかりと伝わってくる今回のお話は、ほかのNPOや非営利団体の皆さんにとっても気づきが多かったのではと思いました。

小嶋さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。


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本記事は「アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社」の提供により企画されました。