公益社団法人ハタチ基金様
少人数の事務局業務をスリム化・効率化して、支援者とのコミュニケーションに注力!【公益社団法人ハタチ基金様の導入事例】
※こちらは2018年10月時点の記事です。登場人物の所属・役職は記事作成時点のものです。
「東日本大震災発生時に0歳だった赤ちゃんが、無事にハタチを迎えるその日まで。」を掲げて活動する公益社団法人ハタチ基金は、東日本大震災の被災地の子どもたちに寄り添い、20年間継続的に支援を行う基金を運営している団体です。
2011年4月に活動を始めて以来、子どもたちに学び・自立の機会を提供するために、集まったご支援は復興状況や現地のニーズに合わせて支援活動をする団体の活動費用に活用しています。
設立以来、多くの支援者の方々から継続的に支援・寄付をいただくことができ、基金の仕事は多岐にわたっています。
少人数による団体運営という事情もあり、特に1年の中でも寄付が集中する繁忙期の対応を何とかしたいと考えていたハタチ基金は、NPOサポートセンターが提供する「NPOバックオフィスサポートサービス(以下、B-SAPO )」を知り、事務局業務の効率化に取り組みました。
B-SAPO導入による成果と、導入によってわかった事務局業務の効率化のポイント、今後の展望について、ハタチ基金の菊地さんと和井田さんから詳しく伺いました。
事務局業務の分担、効率化に悩んでいた
ハタチ基金は、東日本大震災の支援に取り組んでいた複数の団体が協力して立ち上げた組織でした。事務局の運営方法は試行錯誤を繰り返しており、特に季節による業務量の繁閑差に頭を悩ませていました。基金の主な財源となっている寄付金は、年末(12月)や震災の発生日前後(3月)に集中する傾向があります。
ご支援が集中する時期に、寄付者の方への対応や資金管理、事務手続など人手を多く必要とする業務が発生していました。一方で、それ以外の時期は比較的業務量も落ち着いているため、スタッフを雇用することができずに、繁忙期を少ない人手で運営することが続いていました。
菊地 : 直近も半年から1年くらいは事務局運営の業務をどのように分担するかを考え、団体内で議論していました。連携団体内での分担などにも取り組みましたが、なかなかうまくいかず、やはり寄付の対応業務を専門でやれる人がいるといいよねという話になりました。
団体内の作業負担の軽減はもちろん、支援者の方々からの信頼にこたえて、継続して安定的に事務局運営をしていく必要性を感じていました。
業務の外部委託は準備が肝心。2か月間で業務の棚卸しとマニュアルを整備
2018年2月、同団体のスタッフから紹介を受けたことがきっかけで、NPOサポートセンターに相談をしました。3月からヒアリングを始め、どの範囲の業務をB-SAPOにお願いできるかのすり合わせを行っていきました。
まず取り組んだことは、業務の全体像を把握し、棚卸しをすること、そして業務マニュアルを整理していくことでした。
菊地 : NPOサポートセンターの丁寧なヒアリングを通して、もっと効率化できる業務があるのではないかと考えさせられる部分もあり、業務内容を整理し直すことができました。
整理の結果、当初は寄付の対応業務の全てを外部に委託する方向で考えていましたが、メール対応など団体として判断する場面や最終的に責任をもって対応しなければいけない部分の業務などについては、切り分けて団体内の担当者が対応することになりました。
事務局業務の整理と並行して、業務を外部委託することに関して団体内での合意形成にも取り組みました。予算を確保するために理事会の承認が必要でしたが、柔軟なサービス内容と費用について、納得できる内容であったため、そこまで時間がかかることなく意思決定も完了しました。
菊地 : 人の入れ替わりや引き継ぎがあるので、業務マニュアルは以前からベースとなるものはある程度つくっていました。
B-SAPOに業務を委託するにあたって、既にあるマニュアルをアップデートし作り直しました。今、改めて振り返ると、社内の引き継ぎマニュアル作成とは勝手が違い、大変だったと菊地さんは語ります。
社内であればある程度口頭で補うことができる部分も、外部に業務委託するマニュアルは作り方を細かくしなければなりませんでした。委託費用の見積も、団体特有の複雑な業務に関しては、業務手順をはっきりさせないと正確な金額が算出できません。
B-SAPOに委託する前の業務整理に、ある程度の時間が必要でした。一方で、丁寧に整理をした分、具体的で納得のいく提案内容をいただけたと感じています。
菊地 : 誰が見てもわかる内容にする。役割が切り替わるところをわかるようにする。そういった点に気をつけてマニュアルを作成しました。
マニュアルを作成していく中で、業務内容の整理ができました。例えば、数日に1回程度の頻度で実施していた寄付金の入金確認業務は、件数や入金サイクルを整理することで、通常時には10日に1回、繁忙期は数日に1回などメリハリのある管理に変更しました。
寄付者の方から「入金しました」と連絡をいただくこともあります。個別の情報の共有や、変則的な場合はどう対応するのかを、マニュアルで見える化して曖昧な部分をなくしていきました。
B-SAPOがデータベース管理や領収書発行などの事務業務を代行
B-SAPOでは、Salesforceでデータベースを運営管理しているハタチ基金の業務の進め方について提案やアドバイスをしています。
また、寄付関連の事務業務として決済会社やシステム会社、その他の連携会社との連絡調整も代行しています。
これらの事務業務を委託したことで、ハタチ基金は新規プロジェクトの企画などのクリエイティブな業務、寄付者の方々へのより丁寧な対応など、さらに専門的な業務に時間を割くことができるようになりました。
業務のスリム化で、寄付者満足度の高い活動をさらに進める
ハタチ基金が活用するSalesforceは、NPOサポートセンターが詳しい支援者管理システムであったため、ヒアリングの時もサポーティブに話を聞いてアドバイスもしてもらえたので、安心して業務を委託できた、と菊地さんは語ります。
B-SAPOの導入を決めてからわかったことや、今後取り組みたいことについて、ハタチ基金の事務局で実務を担当している和井田さんにお聞きしました。
和井田 : 業務を分割したがゆえに生じる問題もあるとわかり、チェックする体制をつくりミスを防いでいます。
業務を委託する上でどうしてもマニュアルでは伝えきれない感覚的な部分や、予想外のことが出てきます。それに対し、業務を委託したから任せっきりにするのではなく、気になることは団体内でもチェックし、お互いに情報を共有しながら業務を進めています。
マニュアル外の個別対応については、チェックリストを整備して確認する手順を経ることで、予想外のこともすくいあげる工夫に取り組まれています。
和井田 : 事務局業務は定型業務にできる部分がまだあると思っています。NPOサポートセンターさんの協力を得ながら、さらに業務整理を進め、寄付者対応、企画立案の部分により注力できるようにしたいです。
今後、ハタチ基金は事務局業務の更なる整理・スリム化を目指していて、そのためにもB-SAPOからの改善のアドバイスや継続的な提案を期待しています。
B-SAPOの特徴である、委託した業務をただ作業として実施するだけでなく、提案や改善などのフィードバックを通じて、団体の成長や寄付者の満足を高めていくことに貢献する、という点をこれからも大事にしていきたいと考えています。
最後に、菊地さんと和井田さんそれぞれにB-SAPOを導入した感想をお聞きしました。
菊地 : 他の団体でも、少ない人数でマルチタスクをこなしているスタッフの人はたくさんいると思います。NPOで働いている人は皆さん優秀だと思いますが、人はそれぞれ適性があると思うので得意な方に得意なことをお願いする方が良いと思っていて、そうした選択肢が団体の可能性を広げると思っています。
NPOサポートセンターさんからいろいろな提案をもらって、自分たちだけでは思いつかないようなやりかたに気づくことができるので、自分たちが進化していくきっかけとしてさらに活用できればいいなと思っています。
和井田 : 少人数で業務をやっていく場合、担当者の中で記録にはないけれど、ノウハウとしてたまっていくものがあると思います。NPOサポートセンターさんと一緒に進めていくことで、マニュアルに落とし込み、後から誰が入っても大丈夫な体制をつくりあげていきたいと思っています。
NPOのバックオフィス業務の支援を行う「 B-SAPO 」の詳細が気になった方はぜひお気軽にお問合せください。
団体名 | 公益社団法人 ハタチ基金 |
設立年月日 | 2011年4月 |
webサイト | https://www.hatachikikin.com/ |
事業概要 | 2011年4月に基金設置、2014年10月に公益法人認定取得。 震災直後に公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン、NPO法人トイボックス、認定NPO法人フローレンス、認定NPO法人カタリバの4団体関係者が主体となって立ち上げた団体。 事業規模は約1.1億円(2017年度)で、100%寄付金により賄われており、東日本大震災で 被災した子どもたちへの支援事業に取り組んでいる団体に助成を行っている。 |