無料だけど、NPOにセールスフォースって結構ムズかしい!DPI日本会議が「たった1ヶ月半」で導入できた秘訣とは?
・ 独学は難しい全体設計とデータ取込み。
・ 行詰ったら相談できる運用サポーター。
・ salesforce のコツを教えてくれます。
障害者を取り巻く問題に対しての調査研究、政策提言活動の紹介をしている、認定NPO法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議。2012年から、会員管理、イベント管理、物販管理で「セールスフォース導入」を検討されながら、一方で3年間導入が進まない状況でした。
2014年、NPO向けセールスフォース導入「ハンズオンサポート」を活用したことで、「たった1ヶ月半」でスタートすることができました。導入が実現したプロセスで、NPOサポートセンターがどのような役割を果たしたのかをご紹介します。
無料で製品を寄贈提供いただいたものの、活用できていなかった。
当センターが、「ハンズオンサポート」をすることになったきっかけは、DPI日本会議 事務局員の笠柳さんより、セールスフォース導入の相談を受けたことでした。
DPI日本会議では3年前から、導入を検討していました。会員情報や寄付、物販管理、機関紙発送、イベント管理、役員情報等、色々な情報が複数のデータベースに点在していました。エクセルやアクセスなどの別々のシステムでの管理しているのを一元化したい。一元化を実現できるセールスフォースが、NPO向けに無償提供されているのを知りました。
そこからセールスフォースの導入を進めていきましたが、導入前のデータ整理、管理フォーム、導入後のイメージなどを固める整理が中途半端になり、作業から入ってしまったので、うまくいかず導入できないままでした。企業担当者向けセールスフォース研修にも参加しましたが、内容が専門的でレベルが高かった。
前任者から笠柳さんが引き継いだ2014年、DPI日本会議はもう一度セールスフォース導入を決心。当センターの小堀が事前ヒアリングを担当。「組織として活用したい。セールスフォース活用の全体像を決めたい」と相談を受け、NPO向けセールスフォース導入の「ハンズオンサポート」がスタートしました。
短期集中の導入メニューを提案。年末のイベント活用をめざす。
当センターは運用開始まで1ヶ月半、週に1度のペースのMTGで、合計6回DPI日本会議を訪問。6回のMTG期間中、毎回宿題形式で、全体像・導入イメージを固めていただきました。なにを実現したいかを具体的にリスト化。既存データの洗い出し。データの活用場面の想定。今後やりたいことに向けて、集めていかなければならないデータの整理等をサポートしました。
笠柳さんも、全体像・導入イメージの把握、元データの整理、導入後のイメージを固めておくことがセールスフォース導入の成功に繋がると考えており、前任者から引き継いだ資料をもとに、整理するポイント等もイメージができていました。
一方で、最も大変だったのが、セールスフォースのデータ項目の設定ができた後、いままでエクセルなどで管理していたデータを「綺麗に取り込む」ことでした。
複数のデータにまたがる支援者の重複チェック。元のエクセルの入力内容の半角、全角がばらばら。どうしたら、住所情報を効率的に取り込めるか、アドバイスをもとに試行錯誤いただきました。
データ整理の作業ためにマンパワーを増やせない状況でした。エクセルの関数などで、まとめて整理できる方法がないか調べ、できるだけ作業量が少なくすむよう、進めていかれたそうです。
やりたいを実現できる「コンサルタントと運用サポーター」の2名体制
今回の「DPI日本会議セールスフォース導入」プロジェクトに関わったのは、事務局員の笠柳さんと岡部さんと佐藤さん。笠柳さんは組織内の導入プロジェクトリーダーとして、他の業務と並行し、空いた時間は全てセールスフォースに当て、1ヶ月半集中して作業されました。岡部さん、佐藤さんは会員管理業務を担当されていて、セールスフォースの導入過程を見ながら、業務で使う場面をイメージしながらフィードバックされていました。
NPOサポートセンターからは、コンサルタントと運用サポーターの2名でサポートしました。コンサルタントは小堀が務めました。
セールスフォースの仕組み、管理の仕方、項目作りを中心に、日々の運用がどうしたら楽かなどを、提案していきました。組織のみなさんがわかりやすく使ってもらえるように設計するために、笠柳さんは「“できること”や“セールスフォースのくせ”といった細かな勘どころ」をずっと求めていました。
セールスフォース導入作業には、当センターの「運用サポーター」が担当。項目の設定、すでにあるエクセルデータの取り込みや、データの作り方等の相談・サポートを実施。これまで、作業を進めていくと時折エラーが表示される等、原因が分からないことが多かったのも導入の壁だったようです。しかもセールスフォースの作業マニュアルが手元に無い状況でした。
「わからなくなって行き詰ったときに聞ける人がいるのは大きかった。」と笠柳さんが振り返ります。コンサルタントとの議論でやりたいことが決まった後に、運用サポーターが一緒に作業をすすめる体制で、DPI日本会議のセールスフォース導入が実現しました。
3年間ペンディングしていた待望のセールスフォース導入の効果!
セールスフォース導入後、イベント管理が大きく改善。これまでは、イベントごとに、都度都度エクセルに参加者の全部の情報を入力していました。セールスフォースのおかげで、基礎情報の入力の手間がなくなりました。申込状況も自動的にグラフ形式でまとめられ、ぱっと見てわかるようになり、周りのスタッフにも共有しやすくなりました。
既存の支援者情報も一覧化されるようになりました。いままで寄付者と物販購入者の情報は、複数のシステムをいったりきたりをし、参照していました。物販はエクセル、会員管理はアクセスでした。特にアクセスはPCが入っている管理者しか見ることができませんでした。
セールスフォースなら、どのPCからでも把握できるようになりました。寄付情報の次の行に、物品購入履歴も表示されて一覧化できるようになりました。
電話対応も改善。会員管理を担当する岡部さんは、セールスフォース導入のタイミングで入社しました。支援者と団体の関係性をすぐに理解することに、入社したばかりで不安でしたが、電話などでも団体名、名前をセールスフォース検索すれば、いままでの関係性も把握できました。自信を持って対応ができ、とても助かっているようです。
つい先日、導入の第2フェーズとして、メール、FAXで申込み受付をしていたイベント管理を、オンライン申込フォームから自動でセールスフォースに情報が入るよう連携し、効率化することができました。さらに、機関紙の発送先ラベル作成作業などもセールスフォースからできるようにし、社内業務の効率化を進めています。インターネット募金導入の可能性も見えてきたのではないでしょうか。
セールスフォース導入「ハンズオンサポート」の感想
「ハンズオンサポートは、全く触ったことのない状況で、セールスフォースの導入を考えていらっしゃる方におすすめの支援メニューだと思います。なにも知らないまま自分たちでやろうとすると必ず壁にぶつかります。コンサルタントの小堀さんに相談できて、運用サポーターさんが作業ベースをご一緒してくれるような環境が、導入に必要だと実感しました。」(笠柳さん)
「日々の業務にセールスフォースがあってよかったと日々感じています。会員担当者は支援者を把握しなければならない状況の中、支援者のプロフィール、これまでの関係性を知ることができ、新任スタッフの私の不安が大きく減りました。日々の業務で運用する人も、つくるフェーズから一緒に関わると安心して使うことができると思います。」(岡部さん)
「年賀状発送などの短期の目的と、組織全体として活用する中長期の目的両方あったことで、わずか1ヶ月半でしっかり導入できたと思います。なにより、笠柳さんが、集中して導入準備をする時間を確保いただいたことが、一番のポイントだったと思います。日々の業務で運用を担当される岡部さんが、プロジェクトメンバーにいらっしゃったことも、導入後スムーズに運用を開始できたポイントだと思いました。今後もこのような案件をお手伝いしていきたいです。」(小堀)
(写真左から、NPOサポートセンター小堀、認定NPO法人DPI [障害者インターナショナル] 日本会議 笠柳さん、岡部さん)
団体名 | 認定NPO法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議 |
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設立年月 | 1986年3月30日 |
組織規模 | 81,873,581円(2014年導入時) *支出・経常費用計 |
スタッフ数 | 有給専従:9名、有給非専従:8名 |
ウェブサイト | http://www.dpi-japan.org/ |
事業内容 | ・障害者自身の声を「政策」という形に作り上げて、国会や関係省庁などにその実現を積極的に働きかけています。
・障害者を取り巻く政策や私たちの考え方を全国の障害者に届けるため、各地でのイベントに講師を派遣したり、地方で集会を開いたりしています。 ・途上国の障害者の人権確立、生活条件の向上のための活動、障害者の権利条約の国際的な推進や途上国の障害者リーダー養成などを行っています。 ・相談機関を運営し、障害者自身の視点から権利侵害を受けた障害者の相談に応じています。 ・ホームページ・ブログ・メールマガジン、機関誌・情報紙で情報発信しています。 ・点字印刷を行っています。(資料、冊子、名刺等)。 |